終活行政書士 合原千尋の絵日記@鹿児島市

~清く まっすぐ おもしろく~

しあわせに働ける社会へ。活躍の基盤は安心であり、自立。

2020年2月1日(土)、鹿児島県主催マルヤガーデンズ共催のキャリアデザインセミナー1日目は公開講座。昨年は野村浩子さんのご講演でした。

今年は『しあわせに働ける社会へ』と題して、ジャーナリスト、和光大学名誉教授の竹信三恵子さんがお話しくださいました。

キャリアデザインセミナー 竹信三恵子

長きにわたり、記者としてジェンダー差別や労働について報道していらっしゃった竹信さんから、働く女性を取り巻く社会環境や必要な知識や知恵についてうかがいました。

いろんな方に知ってほしいなと思いましたので、かいつまんで書きます。

働き手の立場は弱い

憲法28条で勤労者の団結権、団体交渉権、団体行動権が保障されています。これら労働3権は働き手と経営側の社会的対話を保障するために確立されました。

働き手の立場は弱いからこそ、労働法という下駄を履かせて、対等に話ができるようにしています。

働きがいのある人間らしい仕事

ディーセント・ワークとは、働きがいのある人間らしい仕事(詳細はILOサイトを)。

ディーセント・ワークの実現に向け、
①仕事の創出
→必要な技能を身につけ、働いて生計が立てられるように、国や企業が仕事を作り出すことを支援。
②社会的保護の拡充
→安全で健康的に働ける職場を確保し、生産性も向上するような環境の整備。社会保障の充実。
③社会対話の推進
→職場での問題や紛争を平和的に解決できるように、政・労・使の話し合いの促進。
④仕事における権利の保障
→不利な立場に置かれて働く人々をなくすため、労働者の権利の保障、尊重。
という4つの戦略目標が掲げられています。

そして、”ジェンダー平等”は、横断的目標!!(※ジェンダー:社会的・文化的につくられる性別)

世界でも”人間らしい働き方づくり”は大きなテーマとなっています。私たちが住んでいる日本の現状をみると、
・正社員・フルタイマーの過労死
 →職場にディーセント・ワークがない。
非正社員・パートタイマーの貧困(非正社員の7割は女性)
 →法定時間働いても、経済的自立が難しい最低賃金。自立できない。
・1日8時間労働は守られない(ILO1号条約未批准)。
 →1日8時間労働は仕事と生活の両立の基礎的条件なのに!
労働組合の組織率は16.7%
・失業給付のカバー率はOECD中最低に近い。
 →失業しても失業手当をもらいづらいから、生活のために急いでより劣悪な仕事に手をつけるという悪循環に陥る。
・差別禁止法がない。
 →職場での性差別が根強い。

(ノД`)・゜・。

女性が働きにくい社会システム

女性は家庭内を中心に”無償”で働いてきました。

家庭内の無償労働の重要性を理解してもらうには、お金を稼いでいる人・持っている人(男性)が無償労働にも携わってその価値と重さを痛感することが必要。育児や介護など今まで女性が無償で担ってきた労働だからこそ、「低賃金でいいのでは?」という考え方の人がいるのです。

有償労働も、無償労働も大切だから両方やる!
”男性の家事参加&女性の家庭外労働”で、経済権、発言権を強化し、家事・育児を支える予算や仕組みづくりをしていくことが重要です。

男性は、女性を含め家族を扶養するために長時間労働、転勤など何でも受けて当たり前。女性は、長時間労働の男性を支え、社会保障費を安くするために育児や介護を出来る限り家庭内で担う。

そんな男性基準の長時間労働が継続されてきたからこそ、男性は過労死しがち、長時間労働に合わせられない女性は正社員ではなく低賃金のパートで働き、貧困に陥りがちに・・・。

そして、1990年代後半以降、製造業派遣の解禁などで非正社員は男性にも増えてきました。働く女性の6割近くは今もなお非正社員です。

同一労働同一賃金が未整備だから、地獄の選択をしないといけない状況になっています。→(選択肢A:同じ仕事でも非正社員だと安い賃金になるから正社員として働き、何でも引き受ける。心身を壊しやすい。選択肢B:長時間働けない、転勤できないから非正社員に甘んじる。自立できない。)

誰がしあわせなのでしょうかね。

 

女性の現状を知ろう(統計等より)

・1986年に”男女雇用機会均等法”が施行されてから、給与所得が年300万円以下の女性の割合は約8割から約6割に減ったが、依然として約6割を維持している。(『家事労働ハラスメント』(岩波新書)より)

・働く女性の中で非正社員は半数を超えている。非正社員の7割は女性。(2014年版男女共同参画白書より)

・正社員でも性別による賃金格差がある。年間給与総額でみると、女性は男性の5割程度。正社員同士を比較しても7割程度。(『ルポ賃金差別』より)

・ 学歴が同じでも、男女で昇進の大きな格差がある。大卒の女性よりも高卒の男性の方が昇進している割合が高い。(『働き方の男女不平等』日本経済新聞出版社より)

・セクハラは働き続けられない壁となる。セクハラ相談は多い。対策が重要。(2019年男女共同参画白書より)

・単身女性の貧困率が高い。
→20~64歳の単身女性の32%(男性は25%)、65歳以上の高齢単身女性の47%(男性は29%)、19歳以下の子のいるシングルマザーの48%は貧困。(2012年国立社会保障人口問題研調査より)

・2019年12月に発表されたジェンダーギャップ指数(GGI)は121位/153か国。
【国際】世界「男女平等ランキング2020」、日本は121位で史上最低。G7ダントツ最下位で中韓にも負ける | Sustainable Japan
女性議員の比率は特に低い。地盤、看板、カバンがなく、家族の反対などにより立候補できない。女性議員が増えている国はクォータ制を導入している。(人間は偏見の動物だから、自然には変わらない)

・メディアにおける女性の割合も低い。新聞社・通信社等の記者に占める女性の割合は2割以下。(マイノリティが組織の中でその意思決定に影響力が持てるようになるには3割いないと!)

女性が働く必要性と働きやすさ

現在、15歳から65歳未満の生産年齢人口が減ってきていることなどから女性が働くことが求められています。

19世紀のように重労働がメインだった労働と違い、今はサービス産業が主となってきているので女性でも働きやすくなっています。また、介護の負担が増えてきたため、家庭生活や育児を両立できる仕組み作りが必要になっています。

そして、男性の賃金が上がらなくなっています。(先進国では日本だけ)

経済的に自立できるまともな仕事をすることができる女性が増えると、税収が増え、社会保障の制度に使えます。

諸外国では、経済の変化と女性の権利を抱き合わせた制度がありますが、日本はまだまだ・・・。

国際基準に持っていくためには、女性が働きやすい労働時間と仕事が正当に評価される賃金基準、出産や育児で休んでも社会がその生活を支えることができる仕組みづくりが必要です。それが、女性の為だけでなく、男性の人間らしい生活をつくります。

前夜、竹信さんとお話しさせていただいたときに、「地方公共団体独自でできることもたくさんありますよ!」とさまざまなお話をうかがうことができました。

では、私たちは一人ひとりは今、何ができるのでしょうか?

私たちが当面できること

・少数派の声を確保するためにはまず3割
・人に好かれるために自分を譲らない
・自分のユニークさに誇りを持つ
・身体がいい状態でないといい仕事はできない、身体の良好な状態を保つため頭の中に「1日8時間労働」の時計を持つ
・毎日手帳をつける(何をしていたのか、なぜそんなに忙しいのか、人にやってもらえること、やらなくていいことはないのかを点検)
・発話は人を攻撃するためではない、自分を伝えるために行うもの
・迷ったら「棺桶」。死ぬときに後悔しないかどうかで決断
・働くうえで困ったら労働相談
できそうなことがたくさんありますね!!!

鹿児島県のキャリアデザインセミナーは、2月16日に「アサーティブ・トレーニング~”わたし”を”わたし”の真ん中に~」、2月23日に「”わたし”のことを”わたしたち”で語る~これまでの学びを振り返るダイアログ~」と続きます。(来週には、実施団体のメンバー向けのファシリテートの研修があります。)

しあわせに働ける社会へ。
活躍できるための基盤は安心であり、自立。

私はこのブログを書くことで、自分自身も学びを深め、また参加できなかった方に伝えることができるので嬉しいです。しあわせに働ける社会をつくるために頑張ろうと思いを新たにしました。

あきらめないぞっ!

竹信さんの著書

竹信さんの著書『家事労働ハラスメント~生きづらさの根にあるもの』(岩波新書)と『企業ファースト化する日本~虚妄の〈働き方改革〉を問う』を購入し、サインを書いていただきました。

私、令和2年2月2日に不惑となりましたので、自分への誕生日プレゼント♪(´▽`*)

 

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