終活行政書士 合原千尋の絵日記@鹿児島市

~清く まっすぐ おもしろく~

第8回縁起でもない話をしよう会「在宅医療と宗教者との関わり」@鹿児島市和田

縁起でもない話をしよう会

医療や介護・死の問題など、「縁起でもない話」として避けられがちな話題だけれども、本当は語り合うことが大切な話。それらに関するネタを話題提供者に話してもらい、その後に参加者同士で対話する場が「縁起でもない話をしよう会」です。

【過去の縁起でもない話をしよう会の模様】
第1回「死を目前にゆらぐ心」
第2回「最期をどこで生きるか」
第3回「延命措置、5つの選択肢」
第4回「私の半生と反省」
第5回「明日死んでも大丈夫?もしもに備える相続の話」
第6回「がんについてどっぷりと」
→第7回は諸事情により欠席。

縁起でもない話 在宅医療 臨床宗教師

第8回も進行役はひさみさん。いつもありがとうございます。今回は約40名のご参加でした。

在宅医療と宗教者との関わり

今回の話題提供者は、きいれ浜田クリニック医師の竹下武承さん。 

昭和31年生まれで鹿児島大学工学部に入学後、鹿児島大学医学部に入学されました。鹿児島大学病院や鹿児島医療センターで血液内科医としてご活躍され、日本緩和医療学会日本死の臨床研究会鹿児島緩和ケアネットワークにも所属されていらっしゃいます。(たしか、高校の先輩。そしてこの方の指導医だったそう。)

縁起でもない話 在宅医療 臨床宗教師

終末期医療に導かれるまで

血液内科医は、生と死が隣り合わせの患者さんと向き合います。治ることが優先されます。そんな中、年間で20~30名の方を看取っていらっしゃいました。

縁起でもない話 在宅医療 臨床宗教師
終末期医療にすすむきっかけとなった本が、『病院で死ぬということ』by山崎章郎。本だけでなく、鹿児島医療センター統括診療部長兼耳鼻咽喉科部長の松崎勉先生や、松元町にある善福寺の長倉伯博住職からもさまざまなことを学ばれました。

近代ホスピス緩和医療の流れ

アイルランドのマザー・メアリー・エイケンヘッド(近代ホスピスの母)が貧困者に近代ホスピスの原型である「ホーム」という安息の場を提供し続け、死後、ダブリンにセント・ジョセフホスピスが設立されました。

ディム・シシリー・ソンダースが聖クリストファー・ホスピスを創設し、それまで手術でしか使われていなかったモルヒネなどの麻薬をがんの痛みを緩和するために定期的に使いはじめました。

一方、日本では。

柏木哲夫が、淀川キリスト教病院(大阪府)でホスピスケアを導入。1977年に日本死の臨床研究会発足、1981年聖隷三方原病院(静岡県)に日本初のホスピス開設、1996年日本緩和医療学会発足、2006年がん対策基本法が成立しました。

感銘を受けた本・人

感銘を受けた本や人もたくさんご紹介くださいました。(一部だけ紹介)

死ぬ瞬間ー死とその過程について』byエリザベス・キューブラー・ロス
ホスピスへの遠い道』by岡村昭彦
ホスピス・緩和ケア』by柏木哲夫
雪とパイナップル』by鎌田實
癒されて旅立ちたい』by沼野尚美
平穏死10の条件』by長尾和宏
ご飯が食べられなくなったらどうしますか?』by花戸高司
医療者のための実践スピリチュアルケア』by小澤竹俊
ミトルヒト』by長倉伯博

縁起でもない話 在宅医療 臨床宗教師

人生観が変わった東北大震災

2011年3月11日に発生した東北大震災。発生1か月後に気仙沼などに応援に行かれ、そこで目にした光景、体験したことにより、人生観がガラッと変わられたそうです。

語り合ってみようタイム

話題提供者の話を聞いた後は、参加者同士語り合う時間です。(今回はお話とお話の間に)

縁起でもない話 在宅医療 臨床宗教師

↑竹下先生の若かりし日。(ブログに載せずにはいられませんでしたw)

「震災で愛する人やペットを亡くしたらどうしますか?」との問い。

縁起でもない話 在宅医療 臨床宗教師
この後、臨床宗教師に関する話を聞いた後には「臨床宗教師は必要か?必要ならどんなときに必要か?」という問いかけがありました。

臨床宗教師と・・・

「臨床宗教師」は、被災地や医療機関福祉施設などの公共空間で心のケアを提供する宗教者です。

臨床宗教師の成り立ち

2011年の東日本大震災後、宮城県宗教法人連絡会議によりリニューアルした「心の相談室」が開設され、その後、宮城県で緩和ケアを行っていた岡部健医師が日本においてもチャプレンのように寺院以外の場所で終末期患者に寄り添う宗教者が必要と訴え、「臨床宗教師」という名称を考案しました。

東北大学で臨床宗教師養成講座が創設され、その後、龍谷大学鶴見大学高野山大学武蔵野大学種智院大学などでも養成講座が開講。

2016年2月には、日本臨床宗教師会が発足し、臨床宗教師が資格化されました。

終末期における苦痛と臨床宗教師

終末期における苦痛には、身体的苦痛、精神的苦痛、社会的苦痛、霊的苦痛があり、 これらをまとめて”全人的苦痛(トータルペイン)”といいます。

【全人的苦痛(トータルペイン)】
①身体的苦痛
→痛み、息苦しさ、だるさ、動けないこと
②精神的苦痛
→不安、うつ状態、恐れ、苛立ち、怒り、孤独感
③社会的苦痛
→仕事上の問題、人間関係、経済的な問題、家庭内の問題、相続問題
④霊的苦痛(スピリチュアルペイン)
→人生の意味、罪の意識、苦しみの意味、死の恐怖、価値観の変化、死生観に対する悩み

これまで、医療や介護は発病から死までの生前に関わり、宗教者は死後に関わるのが一般的でした。

ですが、臨床宗教師は、生前に関わります。

布教や伝導を目的とせず、相手の価値観・人生観を尊重しながら、宗教者としての経験をいかして、スピリチュアルペインを抱える人に寄り添います。

実際に関わった場面 

鹿児島で終末期を在宅で過ごされた方に宗教者が関わった症例をお話しくださいました。(詳細は割愛します)

宗教者が関わることにより、患者さんだけでなくそのご家族の支えとなり、信頼関係を構築できたことによりその後のグリーフケアにもつながったそうです。また、医療者の心の支えにもなったとのこと。

ただ、在宅で宗教者が介入することへの認知度が低い、職業を言いづらい、宗教者の役割はまだ確定されたものではなく、個々の能力に依存しているところが大きいという問題点もありました。

臨床宗教師の必要性

医療者はスピリチュアルケアを苦手としているし、患者側にも「医療者は死ぬまでを看てくれるもの」と考えているところがあり、「死んだらどうなるのか」「死んでからどこに行くのか」というスピリチュアルな質問がしにくい側面があると思われます。

宗教者には、仕事柄もともと死後のスピリチュアルな話を聞きやすい土壌がおのずとできている可能性があります。

そういったことから、竹下先生は臨床宗教師の必要性を強く感じられたそうです。

人を支える仕事を生業にしている以上、支えつくしたい。人生観や死生観をしっかりと確立することも大切だ。だからこそ、自己研鑚し続けます。と竹下先生はお話を締めくくられました。


こんなお医者さんが地域にいらっしゃると心強いですよね!

家族だけでなく、医師や宗教者をはじめとするさまざまな専門家とも連携し合い、状況に応じて助け合える、支え合える。それが当たり前にできる社会をつくるために、私たち一人ひとりも学び、行動し続けていく必要があると私は思っています。

久しぶりに参加した「縁起でもない話をしよう会」、うまくまとめられずに凹んでいます・・・。誰か、誰か、まとめ係を~(ノД`)・゜・。

縁起でもない話をしよう会、次回以降のお知らせ

◆9回目◆
日時:2019年11月20日(水)19時~21時
話題提供者:太田博見氏(太田歯科医院院長・鹿児島医療介護塾長)

◆10回目◆
日時:2020年3月11日(水)19時~21時
話題提供者:桑迫伸吾氏(遺品整理・生前整理士)

◆11回目◆
日時:2020年5月13日(水)19時~21時
話題提供者:井崎亮子氏(看護師・SCDスマイルクラブ(鹿児島県脊髄小脳変性症・多系統萎縮症友の会)副世話人代表))

会場は妙行寺門徒会館(鹿児島市和田1-4-1)です。境内に駐車できます。予約も参加費も必要ありませんので、時間のご都合のつく方はぜひご来場下さいませ。

鹿児島市和田だけでなく、鹿児島市喜入や北九州市など他の場所でも開催されています。「縁起でもない話をしよう会」にご興味のある方は、 縁起でもない話をしよう会(Facebook公開グループ)をチェックして下さい。

縁起でもない話 在宅医療 臨床宗教師

いつも場を提供してくださる家主のご住職、夏は暑く冬は寒い入口で受付をしてくださる副住職、ありがとうございます。

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