桜島で大規模噴火が起きたら…と考えたことはありますか？ - 終活行政書士合原千尋の絵日記＠鹿児島市

2019年1月8日(火)に鹿児島専門士業団体協議会交流会の講演会があり、『桜島大規模噴火で予想される火山災害』と題して、京都大学防災研究所火山活動研究センターのセンター長である井口正人教授がお話し下さいました。

桜島大規模噴火　防災

姶良カルデラ噴火

29,000年前の姶良カルデラの噴火では、京都で厚さ40cm、東京でも厚さ10cmの降灰があったそう。鹿児島のシラス台地はそのときの火砕流そのもの。

桜島の活動は26,000年前に北岳から始まり、5,000年前から南岳の活動になっています。

桜島大規模噴火　防災

文明、安永、大正、昭和の噴火と比べると近年の南岳の最大級の噴火はちっぽけ。

大正噴火の前兆

死者58名を出し、大量の溶岩流によって桜島と大隅半島をつないだ大正噴火には前兆がありました。

①薩摩半島側でマグニチュード6クラスの地震、②桜島でときどき地震、③噴火の半年前に桜島の有村地区で二酸化炭素事故(←マグマが地上に近づいてきていることがわかる)、④一ヶ月前から井戸水が枯れる、⑤1日前には桜島内での400回を超える有感地震など火山性地震活動の活発化、 ⑥3～4時間まえには井戸水の水位上昇・温泉湧出。

地震が頻発したからこそ先に避難する人が多く、噴火の規模の割には犠牲者が少なかったそうです。

今現在の桜島の爆発はすぐに3,000～4,000メートルの噴煙が上がりますが、このときは噴火開始10分後でも1,000メートル。これは山頂からの噴火ではなく山の中腹から新しい火口を作ろうとしているためゆっくりだったそう。

桜島の噴火が山頂からではなく中腹からだったら要注意！

大正噴火では、噴火開始から火山灰が放出され、噴煙の高度は最大18,000メートルと推定されています。さらに、噴火開始8時間後にマグニチュード7.1の地震が発生(死者の半数はそのときの地震による)。その後、火砕流が発生し、さらに溶岩流へと移行しました。

噴火の最中にマグニチュード7クラスの地震・・・。安永の噴火では、海底噴火により津波も発生したそうです。あな恐ろしや。

火山灰による災害

鹿児島の方はよくお分かりのように、火山灰が降ると大変です。

農作物の被害、健康被害だけでなく、交通機関が停止するため経済活動にも大きな影響を与えます。

航空機は火山灰を吸い込むとエンジンを全て交換しなければならなくなり、交換のためには数十億円かかります。航空機がとまると物流も止まります。「鹿児島は大変だね～」と思われた県外在住の皆様、他人事ではありませんよ！鹿児島の桜島上空を通る航空路は数多くあるのでチェックしてみて下さい。

航空機だけでなく道路や鉄道にも影響があります。
2011年の霧島新燃岳の噴火では厚さ1～2cmの降灰で道路が閉鎖されました。ドカ灰が降り、列車運行システムに不具合が生じてJRが運休になったこともあります。

私の住んでいる鹿児島市の南部では、特に火山灰対策が大切になります。

もしも大正噴火レベルの噴火が起きたら？

先生のお話から鹿児島市内南部での被害想定をピックアップします。

レキ(2～64mmの大きさ)や火山灰により、もろい建築物や施設の破壊、送電線や電源・通信・水道施設の破壊や機能不全、道路の埋没や使用不可、鉄道の使用不可。そして雨が降ると土石流が発生して河川域の破壊。

さらに大地震による建築物・施設の破壊、液状化、インフラの破壊。海底噴火による津波が起きると、港湾施設が破壊され、沿岸地域は浸水。地盤沈下が起きると港湾施設の使用不可、沿岸の浸水。

ダブル、トリプルでは済まない被害が想定されます。鹿児島市南部ではなく市街地はより多くの被害が想定されます。考えたことはありましたか？

私たちは何をすべき？

もし桜島で大規模噴火がおきたら、複合性が高く長期化する災害が起きます。大ピンチ！ですが、発生頻度の低い災害であるため災害対策が進んでいませんし、私たち自身も体験したことがないため災害に対する想像力が欠けています。

鹿児島市は、桜島の大規模噴火が予想された場合に、桜島の住民だけでなく鹿児島市街地の住民にも事前に避難を呼びかける方針を固めています(詳細はこれから)。

自身の安全のためにも、地域のためにも情報にアンテナをはって備えていきましょう！

桜島大規模噴火　防災