第2回縁起でもない話をしよう会「最期をどこで生きるか」@鹿児島市和田
縁起でもない話をしよう会
医療や介護・死の問題など、「縁起でもない話」として避けられがちな話題だけれども、本当は語り合うことが大切な話。それらに関するネタを話題提供者に話してもらい、その後に参加者同士で対話する場が「縁起でもない話をしよう会」です。
↑第1回は約50名ご参加下さいました。(そのときの様子は上の記事をご覧下さい)
第2回の今回は・・・
なんと!
遠くは屋久島、南さつま市、薩摩川内市からも。約70名の方がご参加下さいました。
最期をどこで生きるか
第2回の話題提供者はきいれ浜田クリニック院長の浜田努氏。
「人の役に立ちたい」という想いで医師になった浜田先生。現在は、かかりつけ医、在宅、緩和ケア、認知症、呼吸器の専門医としてお仕事をされていらっしゃいます。
”人が死ぬとはどういうことか?””人はどこで死んでいるのか?”など、浜田先生のご経験やさまざまなデータをもとにお話し下さいました。
死=敗北
1日に1~3人がお亡くなりになる名古屋の病院で過ごされていた頃は、病気を早く治す、病気を早く見つけることが大切だと学んでいたからこそ、患者さんの死を経験し、無力さを感じ、「死は敗北だ」と思われていたそう。
ご自身の精神状態を保つために死は自分とは関係ない、死と自分の生活の間に壁を作っていたそうです。
ですが。
死=最期まで寄り添うこと
「都会で働くことが人の役に立つことだ」と考えていた浜田先生ですが、地元の喜入に帰ることに。それからご住職と出会います。
「死=敗北であり、人が死ぬということは医師が悪いのだ」という考えから、「死はいつやってくるかはわからないが、必ずやってくるものであり、医師等はそれに携わっているだけ」という考えに変わり、在宅医としての活動を再開されました。
在宅医として出会った3人の患者さんの例を挙げながら、「病院で死ぬか、家で死ぬかの問題ではない。どのように死んだかではなく、どのように最期を生きたかが大切なのだ」と私たちにもわかるようにお話し下さいました。
死とは?
今の日本では、死とは忌み嫌うものになっている。
本来、死は身近にあるもの、死を目前にしても穏やかに過ごせるものと思ってほしいと浜田先生。
私達一人ひとりが老いること、死ぬことを考えていかなければなりません。
縁起でもない4つの軌跡
人がどのように”死”を迎えるのかを表を用いながらご説明下さいました。
①とつぜん型(事故・天災・急激な病気など)
身体の機能が高い状態のまま突然亡くなるパターン。
②終末期には急激型(がん、など)
身体の機能が亡くなる前1~2ヶ月で急激に悪化し亡くなるパターン。
③上下しながら低下型(心不全など)
急激な悪化と改善を繰り返し、亡くなるパターン。慢性病はいつ最期かわかりにくいそう。例)桂歌丸さん
④低空飛行型(老衰・認知症など)
機能が低い状態で緩やかに上下し、亡くなるパターン。
いずれのパターンにせよ、人には必ず死が訪れます。
ですが、とあるアンケートの結果をみてみると・・・
・死について考えたことがありますか?
ある69% ない31%
・家族と終末期医療について話し合っていますか?
詳しく話をしている3% 一応話した40% 話したことがない56%
死は自分に関係がない、もしくは縁起でもないと考えることを放棄していませんか。
理想と現実のはざまで
超高齢多死社会がやってきます。
(以下画像は浜田先生のFacebookよりお借りしました。)
1965年は、在宅で死亡が82%、病院で死亡12%と在宅で亡くなる方が多かったのですが、1976年に逆転しました。2016年には、在宅で死亡が13%、病院で死亡が76%になっています。
鹿児島県では現在3万床ありますが、2025年までに1万床削減されます。つまり、施設や在宅で亡くなる方が増加します。
しかし、現状では鹿児島市の在宅死亡率は8.0%!
7割の人が在宅で亡くなることを希望しているものの、「家がいいけど無理かも」と思っている人が多く、現実はもっと厳しい。
”家で最期を迎える人が増える”という事実を踏まえ、一人ひとりが「自分は何ができるんだろう」と考える時代になっていきます。
老い・死は皆で考え、受け入れる。
そう考えると、避けることなく話ができるのではないでしょうか。
と浜田先生はお話を締めくくられました。
自分が決めた場所で最期まで生きたい!ですよね?
語り合ってみようタイム
縁起でもない話をしよう会は、話題提供者の話を聞いた後は、参加者同士語り合う時間。
今回は、「あなたががんと診断され、余命6ヶ月と言われたら最期をどこで生きたいですか?」について語り合いました。語り合う手助けとなったのが、浜田先生が作られたこちらのカード。
海外ではマンガやイラストを医療の教育や患者への説明などに使用する”グラフィック・メディスン” が流行しているそう。たしかに、病気や治療について口頭だけで説明されるより、絵や図があった方が理解しやすいです。
「最期をどこで生きるか?」 なんて縁起でもない話を楽しそうに語り合っていらっしゃる皆様。
浜田先生もじっくりお話を聞いて下さいました。
2時間という限られた時間を充実したものにするために時間管理をして下さった進行役、上村ひさみさん。
3つの覚悟
お話を拝聴して、参加者同士語り合うだけでなく、質疑応答の時間も。答えにくい質問にも浜田先生は丁寧に答えて下さいました。
最期のときを自宅で過ごすためには、3つの覚悟が必要とのこと。
①本人の覚悟
②家族の覚悟
③医師の覚悟
個人的には、”家族の覚悟”が意外と難しいと思います。
最後に
縁起でもない話をしよう会は、話題提供者によって話の内容が多岐にわたり、その話の構成も進め方も異なります。聴く側の属性も年齢もバラバラです。
縁起でもない話を聴いて、考えて、語る時間は、自分の、家族の、周りの人の生きることに向き合うために、とても有益な時間になります。
縁起でもない話を家族としてみたいけれど切り出しづらいときは、ご一緒に参加してみるのも手だと思います。
最後の最後に・・・
記録係したい人いませんか?(笑)
どうせ放っておいても私はブログを書くのですけれど、合原フィルターがかかっちゃいますから(;´Д`)←不安。
縁起でもない話をしよう会、次回以降のお知らせ
縁起でもない話をしよう会は、参加費無料、予約不要。話を聞くだけではなく、参加した方同士語り合う時間もあります。今後も2ヶ月に1回開催されます。
◆3回目◆
日時:2018年11月14日(水)19時~21時
話題提供者:黒野明日嗣氏(いづろ今村病院院長)
◆4回目◆
日時:2019年1月16日(水)19時~21時
話題提供者:小齊平智久氏(相良病院 医師)
◆5回目◆
日時:2019年3月13日(水)19時~21時
話題提供者:正込健一朗氏(正込法律事務所 弁護士・社会保険労務士)
6回目以降も開催予定ですので、お気軽にご来場くださいね。
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