第3回縁起でもない話をしよう会「延命措置、5つの選択肢」@鹿児島市和田
縁起でもない話をしよう会
医療や介護・死の問題など、「縁起でもない話」として避けられがちな話題だけれども、本当は語り合うことが大切な話。それらに関するネタを話題提供者に話してもらい、その後に参加者同士で対話する参加型の場が「縁起でもない話をしよう会」です。
【過去の縁起でもない話をしよう会の模様】
→第1回縁起でもない話をしよう会「死を目前にゆらぐ心」
→第2回縁起でもない話をしよう会「最期をどこで生きるか」
今回は大阪や熊本からご参加下さった方もいらして、約70名の参加。リピーターが多いのかと思いきや、初めての方が3分の1以上はいらっしゃったような。(こちらのお寺の門徒さんでなくともどなたでも参加できる会です。)
黒野先生のお話
第3回の話題提供者は、いづろ今村病院院長の黒野明日嗣先生。
昨年まで公益財団法人慈愛会 愛と結の街グループにいらっしゃった方です。穏やかで優しい口調で、関東にお住いのご両親のことや愛と結の街のこと(入所者の平均余命が6~7年だった)などからお話を始められました。
関係性の中の死
まずは死んだところから!!!(;゚Д゚)
「自分が死んで棺桶の中に入っている姿を空中から眺めているところを想像して下さい。 」と言われ、私は、ノートに棺桶とその周りにたくさんの人と眼鏡をかけて空に浮かんでいる自分の絵を描きました。(寂しがり屋)
・死んだ後にも関係性は続き、死は周りにも関係する。
・だから豊かな人間関係を大切にすること。
・人数よりも深さが大切。(深い関係を築けるのは35人が限度)
→「自己実現を成し遂げた人は実は人脈が広くない」byエイブラハム・マズロー
棺桶の中からの哲学的なお話。
黒野先生は、亡くなった後→亡くなった直後→亡くなる数分前→亡くなる数時間前→亡くなる数日前→亡くなる数年前→元気な今、と死から現在へ遡る形でお話を進められました。
以下、メモをもとに振り返ります。
人生は選択と自己決定の連続
◆亡くなった直後。
人はバックアップをして保存をすることはできないが、周りの人の記憶に残ることができる。記録を残すツールはあるが、残さないという選択肢もある。
◆亡くなる数分前。
ここでできる医学はない。
選択肢が増えれば増えるほど人は決められなくなる。
アイエンガー教授らは、アメリカのスーパーマーケットにジャムの試食ブースをつくり、24種類のジャムと6酒類のジャムを数時間ごとに入れ替えて提供し、買い物客の反応を調べるという実験を行いました。
その結果、24種類のジャムを並べたときには、買い物客の3%しか購入しませんでしたが、6種類のジャムを並べたときには、買い物客の30%近くが購入しました。
選択肢が多すぎると人は選ぶのを諦める。選ぶ、決める、取捨選択する、諦める、捨てる技術が必要?
◆亡くなる数時間前。
ここではできる医学はある。病院にいる=延命措置を受けている。
時間の意味・日頃から話し合う
延命措置とは、終わりに近づいている命を少しでも長らえること。どのくらいの時間が必要なのか。時間とは?(←哲学カフェっぽい♪)
この”時間”は、家族のものではなく本人の時間であるが、本人が決めていない・決められないときは、家族が決める(命の選択)。
↑
急に決めないといけなくなった場合、家族は”直感的に”決めてしまう傾向がある。
・利用可能性ヒューリスティック:取り出しやすい記憶情報を優先的に頼って判断すること。
・現状維持バイアス:大きな変化を避けて今の状態を保とうとすること。
・選択肢過剰の場合に決められない。
そういった状況に備えて、元気なときに「こうなったら、こうしてほしい」と事前指示をする。
”事前指示”は、どこまで想定して指示を出せたかわからない欠点はあるが、本人の事前指示をもとに家族は決めることができる。日頃から大切な人達と縁起でもない話をしたり、そうできる環境があると、「きっと〇〇ならこうする、こう考えると思う」と言える。
伸びた時間をどう使うか。一緒に悩んで決める。
◆亡くなる数日前。
点滴や機械を使えるが、基本的にはあまり積極的には使われない。「何もしない(=そのまま自然に)」という選択肢がある。(ただし、この選択肢は病院では選べない)
治療をせずにそのまま経過を見ると、老衰と同じ状況=”飢餓と脱水”となる。人間の最後の欲である食欲が無くなると、食事をとらなくなる。
最期は”飢餓と脱水”。
それらに対する医療をするということは、その先の進行を遅らせる=「死までの時間を先延ばしにする」ということ。その時間はどのような価値があり、どう使うものなのか?
迷って当たり前。
大切なことだから、直感で決めず、大切な人達と一緒に悩んで決めてほしい。私達は関係性の中で生きているから、周りの人は自分の意見を尊重してくれるが、だからといって「私はこう決めた!」と言われると少し寂しい。
一緒に考えるときには、反対意見が大事。
・悪魔の代弁者:あえて批判や反論をする人
・ソマティックマーカー:意思決定をするときに身体的感情に影響されること。
・関係性の中での死
◆死の数年前。
腸管の細胞が年をとり、消化吸収能力が低下し、食べても微妙に痩せる。精神も老いる。
人は信念と共に若く 疑惑と共に老ゆる
人は自信と共に若く 失望と共に老ゆる
希望ある限り若く 失望と共に老い朽ちる
byサミュエル・ウルマン
◆元気な今。
「元気な今、5つの選択肢について考えましょう」とお話を締めた黒野先生。
・胃瘻:お腹につくった”口”から胃に直接栄養を送る。
・経鼻栄養:鼻から栄養チューブを通し、胃や小腸に栄養を送る。
・中心静脈栄養:点滴により静脈から高カロリーの栄養を送る。
・点滴
・自然
あなたはどの選択肢をとりたいですか?
語り合ってみようタイム
縁起でもない話をしよう会は、話題提供者の話を聞いた後は、参加者同士語り合う時間。
「5つの選択肢(胃瘻、経鼻栄養、中心静脈栄養、点滴、自然)についてどれを選びますか。それはなぜですか。」について、3人以上のグループを作り、語り合いました。
今の私なら”自然”を選びます。
見て、嗅いで、触れて、味わって、美味しいものを親しい人たちと一緒にいただくことが大好きなので、食べられない=生きていてもつまらないから。
昨年色々なことが重なってご飯の味がわからなくなったことがあり、そのときに「私、生きてるけど死んでる」と思ったんですよ。同時に「自分の為にも大事な人の為にも生きなくちゃ!」とも。食べること=生きること。食べ物ブログはこうして出来上がるわけです(笑)。
盛り上がっているところで、次の質問&語り合い。
「大事な人(親など)に対してはどれを選びますか。それはなぜですか。」
→”自然”が多かったです。
さらにその後、最後の質問&語り合い。
「大事な人・・・自分の子どもに対してはどれを選びますか。それはなぜですか。」
→”選べない”という選択肢が追加され、”選べない”が多数。大事な人(親など)に比べ、”胃瘻”を選択する人が増えていました。
もやもや。
もやもや。
もやもや。
もやもや。
あ゛~(#ノー_ー)ノ彡┻━┻彡┳━┳彡┻━┻
哲学カフェといい、縁起でもない話をしよう会といい、門徒会館で開催されるイベントに参加したら、”もやもや”することが多いです。そして帰宅後に必ず夫と”もやもや”を共有します。
こういうイベントに参加すること自体もおもしろいですが、その後に周りの人と話すネタ・きっかけにもなるのでおすすめです!
縁起でもない話をしよう会、次回以降のお知らせ
縁起でもない話をしよう会は、参加費無料、予約不要。話を聞くだけではなく、参加した方同士語り合う時間もあります。今後も2ヶ月に1回開催されます。
◆4回目◆
日時:2019年1月16日(水)19時~21時
話題提供者:小齊平智久氏(さがらパース通りクリニック 医師)
◆5回目◆
日時:2019年3月13日(水)19時~21時
話題提供者:正込健一朗氏(正込法律事務所 弁護士・社会保険労務士)
6回目以降も開催予定ですので、お気軽にご来場くださいね。
おまけ
黒板のニャロメに気づきました?
どなたが描いたのかは書きません。書きません。書きませんが!
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